妊娠がわかったらすぐにもらえるお金
妊娠から出産、そして育児にかけては、何かと費用がかかるものですよね。でも、ご安心ください!日本では、妊娠中の方や子育て世帯をサポートするさまざまな公的制度があり、申請することでまとまったお金を受け取ることができます。
ここでは、妊娠中から出産、育児にかけてもらえる主な公的資金と、その概要について、分かりやすくご紹介します。
1. 妊婦健診費の助成(補助券・受診票)
妊娠がわかってから、まずお住まいの市区町村役場に妊娠届を提出すると、母子健康手帳と一緒に「妊婦健診補助券(または受診票)」が交付されます。
- 目的: 妊娠期間中の妊婦健診の費用負担を軽減するため。
 - 金額: 自治体によって助成回数や助成額は異なりますが、おおよそ14回分の助成券が交付されるのが一般的です。全額無料になる項目もあれば、一定額が補助される場合もあります。
 - 対象者: 妊娠したすべての妊婦さん。
 - 申請方法: 妊娠届を提出する際に、役所で受け取ります。健診時に医療機関の窓口に提出することで、自己負担額が軽減されます。
 
ポイント:
- 妊娠確定前の初診費用や、補助券の対象外となる検査費用、補助額を超過する費用は自己負担となります。
 - 2025年からは、一部の自治体で妊婦健診の助成上限額が引き上げられる動きもあります(例:川崎市など)。
 
出産時にもらえるお金
2. 出産育児一時金
出産にかかる費用を補助してくれる、妊婦さんなら誰もが利用できる代表的な制度です。
- 目的: 出産費用の経済的負担を軽減するため。
 - 金額: 子ども1人につき50万円(2023年4月1日以降の出産の場合)。
- ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産や、妊娠週数が22週未満の出産の場合は48.8万円となります。
 - 多胎児の場合は、人数分が支給されます(例:双子の場合は100万円)。
 
 - 対象者: 健康保険や国民健康保険の被保険者、またはその被扶養者で、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産(早産、死産、流産、人工妊娠中絶を含む)した方。
 - 申請方法:
- 直接支払制度: 医療機関が加入している健康保険組合に直接請求してくれる制度です。多くの医療機関で対応しており、出産費用から一時金が差し引かれるため、退院時に支払う自己負担額を抑えられます。事前に健康保険組合への申請は不要で、医療機関の窓口で「直接支払制度を利用する」旨を伝え、同意書などに署名します。
 - 受取代理制度: 医療機関が直接支払制度に対応していない場合に、本人の代わりに医療機関が健康保険組合に申請・受給する制度です。事前に加入している健康保険組合への申請が必要です。
 - 自分で申請(事後申請): 一時金制度を利用せず、全額自己負担で出産費用を支払い、後日自分で健康保険組合に申請し、一時金を受け取る方法です。クレジットカードのポイントを貯めたい場合や、海外で出産した場合などに利用されます。
 
 
ポイント:
- 出産育児一時金は、正常分娩の場合は健康保険適用外のため、公的医療保険の対象ではありません。そのため、出産にかかる費用が高額になった場合でも、高額療養費制度の対象にはなりません(ただし、切迫早産などで保険診療となった部分は対象)。
 - 差額が出た場合(出産費用が一時金より少なかった場合)は、後日、差額が支給されます。
 
働くママがもらえるお金(会社員・公務員など)
3. 出産手当金
会社員や公務員として働いているママが、産休中にお給料がもらえない期間の生活を保障するための制度です。
- 目的: 出産のために仕事を休み、給与が支払われない期間の生活を保障するため。
 - 金額:
- 原則として、**「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3」**で計算されます。
 - 休業中の給与の約2/3程度が支給されるイメージです。
 
 - 対象者: 勤務先の健康保険に加入していること。妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であること。出産のために休業しており、その期間に給与が支払われないこと。
 - 支給期間: 出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から、出産日の翌日以降56日まで。
- 出産が予定日より遅れた場合は、遅れた日数分も産前期間として加算されます。
 
 - 申請方法: 通常は勤務先の会社を通じて申請します。会社に必要書類を提出し、会社が健康保険組合に申請します。退職する際にはご自身でハローワークでの手続きが必要になる場合があります。
 
ポイント:
- 自営業やフリーランスなど、国民健康保険に加入している方には、出産手当金に相当する制度はありません。
 - 出産育児一時金とは目的が異なるので、それぞれ申請が必要です。
 
4. 育児休業給付金
育児休業(育休)期間中の生活を保障するための制度です。性別を問わず、要件を満たせば男性も受給できます。
- 目的: 育児休業期間中の生活を保障し、育児と仕事の両立を支援するため。
 - 金額:
- 育児休業開始から180日(約6ヶ月)までは、休業開始時賃金日額の67%。
 - それ以降は、休業開始時賃金日額の50%。
 - 賃金日額には上限額があります。
 
 - 対象者: 雇用保険の被保険者であり、以下の要件を満たす方。
- 育児休業を開始した日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(または就業した時間数が80時間以上の)月が12ヶ月以上あること。
 - 休業期間中の就業日数が、支給単位期間ごとに10日以下(10日を超える場合は就業した時間数が80時間以下)であること。
 
 - 支給期間: 原則として、子どもが1歳になる日の前日まで。
- ただし、保育所に入所できないなど一定の要件を満たす場合は、最長で子どもが2歳になる日の前日まで延長できます。
 - 「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得した場合に支給される「出生時育児休業給付金」は、子の出生後8週間以内に取得する4週間(28日)以内の休業が対象となります。
 
 - 申請方法: 勤務先の会社を通じて、ハローワークに申請します。通常、2ヶ月ごとに申請が必要です。
 
ポイント:
- 2025年4月からは、手取りをほぼ減らさずに最大28日間、育児休業を取ることができるようになる制度変更も予定されています。
 
出産後にもらえるお金
5. 児童手当
日本国内に住む0歳から中学校修了までの子どもを養育している方に支給される手当です。
- 目的: 次世代を担う子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するため。
 - 金額(目安):
- 0歳〜3歳未満:一律15,000円/月
 - 3歳〜小学校修了まで:10,000円/月(第3子以降は15,000円/月)
 - 中学生:10,000円/月
 - 所得制限を超過する世帯には、特例給付として一律5,000円/月が支給されます。
 
 - 対象者: 子どもを養育している方。
 - 申請方法: 出生届を提出する際に、お住まいの市区町村役場で一緒に手続きをします。
 
その他、知っておくと良い制度
6. 高額療養費制度
妊娠中に切迫早産や妊娠高血圧症候群などで入院・手術が必要となり、医療費が高額になった場合に利用できる制度です。
- 目的: 医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、その超えた分が払い戻される制度。
 - 対象となる費用: 健康保険が適用される医療費のみ。正常分娩費用や差額ベッド代、食事代などは対象外です。
 - 申請方法: 加入している健康保険に申請します。事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます(マイナ保険証を利用できる医療機関では、準備が不要となる場合もあります)。
 
7. 出産・子育て応援給付金(伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施)
2023年1月より始まった制度で、自治体による「伴走型相談支援」と「経済的支援(合計10万円)」を一体的に実施するものです。
- 目的: 妊娠期から出産・子育て期まで一貫して支援することで、安心して出産・子育てができる環境を整備するため。
 - 金額:
- 出産応援給付金: 妊婦1人あたり5万円(妊娠届出時)
 - 子育て応援給付金: 子ども1人あたり5万円(出生届出後)
 - 合計10万円が目安となりますが、自治体によって実施状況や給付金名称、申請期限などが異なります。
 
 - 対象者: 原則として、妊娠届を提出した妊婦の方、および出産した保護者。
 - 申請方法: 各自治体で異なりますが、妊娠中に自治体の面談を受けることなどが要件になることが多いです。お住まいの自治体の窓口やウェブサイトで確認しましょう。
 
まとめ:もらえるお金は積極的に情報収集&申請を!
妊娠・出産・育児には様々なお金がかかりますが、国や自治体には、それをサポートしてくれる手厚い制度がたくさんあります。
「もらえるお金」は、申請しないともらえません!
- 妊娠がわかったらすぐに、お住まいの市区町村役場に妊娠届を提出しましょう。 そこで母子健康手帳や妊婦健診補助券、出産・子育て応援給付金に関する情報などが手に入ります。
 - ご自身の加入している健康保険(会社の健康保険組合や国民健康保険)の制度も確認しましょう。
 - 制度は改正されることもあるので、常に最新の情報をチェックするように心がけましょう。
 
不安なことや不明な点があれば、遠慮なく役所の担当窓口や、勤務先の人事・総務担当者に相談してみてくださいね。必要な情報を集めて、安心して妊娠・出産、そして育児の期間を過ごしてください!