大切な人が亡くなったら…悲しみの後に待つ「手続き」を落ち着いて進めるためのガイド


突然の別れ、予期せぬお別れ…大切な人を失った悲しみの中で、次に何から手をつければいいのか、途方に暮れてしまう方も少なくないでしょう。しかし、故人を偲ぶ気持ちとは別に、避けては通れない「亡くなったあとの手続き」が待っています。

役所への届け出、葬儀、相続、年金、保険…。聞いただけで頭が痛くなりそうですが、これらは故人の尊厳を守り、残された家族が安心して生活していくために、とても大切なプロセスです。

この記事では、大切な方が亡くなった後に必要となる主な手続きについて、その流れと押さえるべきポイントを、専門用語を避け、わかりやすい言葉で解説していきます。悲しみの中で、少しでもあなたの負担が軽くなるよう、心を込めてお手伝いできれば幸いです。

まずはここから!亡くなってから1週間以内にすること

故人が亡くなってからすぐに行うべき手続きは、特に時間的な制約があるものが多いです。まずは、この3つのことを最優先に進めましょう。

1. 死亡診断書(または死体検案書)の受け取り

医師が発行する書類で、故人の死亡を医学的に証明するものです。死亡届の提出や火葬・埋葬許可証の取得に必須となります。

  • 発行者: 担当医(病院で亡くなった場合)または検案医(自宅など病院以外で亡くなった場合)。
  • ポイント: 複数枚(通常2~3枚)コピーを取っておきましょう。後の手続きで提出を求められることが多いため、原本を何度も提出しなくて済むようになります。

2. 死亡届の提出と火葬・埋葬許可証の取得

故人が亡くなったことを公的に届け出る最も重要な手続きです。

  • 提出先: 故人の本籍地、死亡地、または届出人の所在地いずれかの市区町村役場。
  • 提出期限: 死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は3ヶ月以内)。
  • 必要なもの: 死亡診断書(死体検案書)の右半分が死亡届になっていますので、必要事項を記入し、届出人の印鑑を持参します。
  • ポイント: 死亡届を提出すると、同時に「火葬・埋葬許可証」が交付されます。これは、火葬を行う際に必須となる書類ですので、大切に保管し、葬儀社に渡しましょう。

3. 葬儀・告別式の準備

葬儀社との打ち合わせ、日程や場所の決定、参列者への連絡などを行います。

  • 葬儀社選び: 複数の葬儀社から見積もりを取り、サービス内容や費用を比較検討することをおすすめします。
  • 日程の決定: 火葬場の空き状況や、親族の都合などを考慮して決めます。
  • ポイント: 葬儀社は、死亡届の提出や火葬・埋葬許可証の取得を代行してくれる場合が多いです。相談する際に確認してみましょう。

葬儀後、ひと段落したら…故人の名義変更や各種手続き

葬儀が終わると、少し落ち着く時間ができますが、ここからが本格的な名義変更や各種手続きの始まりです。

1. 世帯主の変更届(世帯主が亡くなった場合)

世帯主が亡くなった場合、同じ世帯の誰かが世帯主になる「世帯主変更届」を提出します。

  • 提出先: 故人が住んでいた市区町村役場。
  • 提出期限: 死亡日から14日以内
  • 必要なもの: 届出人の本人確認書類、印鑑。

2. 年金の手続き(年金受給者が亡くなった場合)

故人が年金を受給していた場合、年金受給権を止める手続きが必要です。

  • 年金受給権者死亡届:
    • 提出先: 年金事務所または年金相談センター(国民年金・厚生年金の場合)。共済年金は各共済組合。
    • 提出期限: 死亡日から10日以内(国民年金)、14日以内(厚生年金)。
    • 必要なもの: 年金手帳、死亡診断書(死体検案書)または戸籍謄本など。
  • 遺族年金・死亡一時金などの請求:
    • 故人が加入していた年金の種類によって、遺族が受け取れる年金や一時金があります。受給資格や金額は様々ですので、年金事務所などに相談しましょう。
    • 提出期限: 死亡日から5年以内が原則ですが、早めに手続きを始めましょう。

3. 健康保険の手続き

故人が加入していた健康保険によって手続きが異なります。

  • 国民健康保険の場合:
    • 資格喪失届:
      • 提出先: 故人が住んでいた市区町村役場。
      • 提出期限: 死亡日から14日以内
      • 必要なもの: 保険証、届出人の本人確認書類。
    • 葬祭費の支給申請: 国民健康保険の加入者が亡くなった場合、葬儀を行った人に葬祭費が支給されます。
      • 提出期限: 葬儀を執り行った日から2年以内
  • 社会保険(健康保険組合など)の場合:
    • 勤務先の総務部などに連絡し、手続きについて確認しましょう。被扶養者だった家族も、国民健康保険への切り替えなどが必要になります。
    • 埋葬料(埋葬費)の支給申請: 故人や扶養されていた家族が亡くなった場合、埋葬料などが支給されます。
      • 提出期限: 死亡日から2年以内

4. 医療費の手続き

  • 高額療養費の申請: 故人が亡くなる前に多額の医療費を支払っていた場合、申請することで一部払い戻されることがあります。
  • 確定申告(準確定申告): 故人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が確定申告を行う必要があります。
    • 提出期限: 死亡日から4ヶ月以内

少し時間をかけてじっくりと…財産や相続に関する手続き

ここからは、遺産の内容によって複雑になることもある手続きです。専門家(税理士、弁護士、司法書士など)に相談することも視野に入れましょう。

1. 遺言書の確認

故人が遺言書を残していないか確認します。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認」が必要です。公正証書遺言の場合は検認は不要です。

2. 遺産・相続人の調査と確認

  • 遺産の調査: 預貯金、不動産、有価証券、自動車、美術品などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も全て調査します。
  • 相続人の確定: 戸籍謄本などを集めて、誰が相続人になるのかを確定させます。

3. 遺産分割協議と名義変更

  • 遺産分割協議: 相続人全員で、誰がどの財産を相続するか話し合い、合意したら「遺産分割協議書」を作成します。
  • 財産の名義変更: 遺産分割協議に基づいて、預貯金、不動産、自動車などの名義を相続人に変更する手続きを行います。

4. 相続税の申告と納税

相続した財産の総額が、基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納税が必要です。

  • 提出先: 故人の住所地を管轄する税務署。
  • 提出期限: 死亡日から10ヶ月以内
  • ポイント: 控除や特例が多く、計算が複雑になるため、税理士に相談することをおすすめします。

その他の大切な手続きと考慮すべきこと

  • 生命保険の請求: 故人が生命保険に加入していた場合、受取人が保険金を請求できます。
    • 提出期限: 保険会社によって異なりますが、請求期限は3年程度が一般的です。
  • 医療保険・がん保険などの請求: 故人が入院や手術などで医療保険に加入していた場合、給付金の請求ができることがあります。
  • 携帯電話・インターネット・公共料金などの解約・名義変更:
    • 契約会社に連絡し、解約や名義変更の手続きを行います。未払い料金がないか確認しましょう。
  • 運転免許証・パスポートの返納:
    • 運転免許証は最寄りの警察署、パスポートは外務省または旅券事務所に返納します。
  • 銀行口座の凍結解除と解約:
    • 銀行に死亡の連絡をすると、故人の口座は凍結されます。相続手続きが完了するまで、引き出しなどができなくなります。
    • 凍結解除や解約には、戸籍謄本、遺産分割協議書などが必要になります。
  • クレジットカードの解約:
    • クレジットカード会社に連絡し、解約手続きを行います。

まとめ:一人で抱え込まず、サポートを頼る勇気も大切

大切な人を失った後の手続きは、時間も労力もかかり、精神的な負担も大きいものです。しかし、これらを一つずつクリアしていくことで、故人が残してくれたものを受け継ぎ、あなたの生活を再構築していくことができます。

もし、すべてを一人で抱え込むのが難しいと感じたら、迷わず信頼できる親族や友人、そして専門家(葬儀社、税理士、弁護士、司法書士など)のサポートを頼ることをためらわないでください。それぞれの専門家が、あなたの負担を軽減し、適切な手続きをサポートしてくれます。

このガイドが、悲しみの中で立ち尽くすあなたの、ささやかな道しるべとなれば幸いです。


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