顎変形症の診断に欠かせない!レントゲン検査の役割と種類を徹底解説
「顎の形が気になるけど、一体どうやって診断するんだろう?」「レントゲンってどんな種類があるの?」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。顎変形症の正確な診断と適切な治療計画を立てる上で、レントゲン検査は非常に重要な役割を担っています。
今回は、顎変形症の診断で行われるレントゲン検査の種類や、その目的、そしてどんなことがわかるのかを、わかりやすくご紹介します!
なぜ顎変形症の診断にレントゲンが重要なの?
顎変形症は、歯並びの問題だけでなく、上あごや下あごの「骨格」そのもののズレが原因で起こることがほとんどです。目で見える範囲だけでは、骨格の細かい状態や、神経・血管の位置などを正確に把握することはできません。
そこで、レントゲン写真の出番です!レントゲンは、体の内部を透かして見ることで、顎の骨の大きさ、形、位置関係、歯の根の状態、さらには顎関節の状態まで、目には見えない情報を得ることができる、診断に不可欠なツールなのです。
顎変形症の診断で使われる主なレントゲンの種類
顎変形症の精密検査では、複数の種類のレントゲン撮影が行われることが一般的です。それぞれのレントゲン写真には、異なる目的と役割があります。
- パノラマエックス線写真(パノラマレントゲン)
- どんな写真?:お口全体を一枚の写真で撮影するレントゲンです。
- 目的・わかること:上下の歯の全体的な状態(歯の数、生え方、虫歯の有無)、歯を支える顎の骨の状態、親知らずの有無や位置、顎関節の一部などを大まかに確認できます。顎全体を俯瞰(ふかん)して見ることができるため、全体像の把握に役立ちます。
- 頭部エックス線規格写真(セファログラム)
- どんな写真?:頭部を横(側面セファロ)や正面(正面セファロ)から規格化された状態で撮影するレントゲンです。エックス線の発生源と頭部、フィルムの距離を一定に保つことで、正確な比較や計測が可能です。
- 目的・わかること:
- 側面セファロ:上顎骨や下顎骨の前後的な位置関係、頭蓋骨に対する顎骨のバランス、上下の歯の位置や傾きなどを詳細に分析します。これを「セファロ分析」と呼び、顎変形症の診断と治療計画の立案において最も重要なレントゲンの一つです。顔の横顔の骨格のズレ具合を数値で把握できます。
- 正面セファロ:顔の左右の対称性(歪み)や、顎の横方向のズレを評価するために用いられます。
- ポイント:矯正治療を受ける方にはほぼ必須となる検査です。治療の前後で比較することで、顎の成長や治療による変化を客観的に評価することもできます。
- 歯科用CT(コーンビームCT)
- どんな写真?:顎の骨や歯の状態を3次元的に観察できるレントゲンです。
- 目的・わかること:従来のレントゲンでは平面でしか見えなかった顎の骨の厚み、骨の中を通る神経や血管の走行、埋まっている歯の正確な位置などを、あらゆる角度から詳細に確認できます。顎変形症の手術計画を立てる際や、より複雑な症例の診断に非常に有用です。
- 顎関節部のエックス線写真
- どんな写真?:顎関節(あごの付け根にある関節)に特化して撮影するレントゲンです。
- 目的・わかること:顎関節症の症状がある場合や、顎の動きに異常がある場合に、関節の形態異常や位置異常、骨の変形などを評価するために使用されます。
レントゲン検査で何がわかるの?診断のポイント!
これらのレントゲン写真を用いて、専門医(矯正歯科医や口腔外科医)は以下のような情報を分析し、顎変形症の診断と治療計画を立てていきます。
- 顎の骨の大きさや形:上あごや下あごが標準と比べて大きいか小さいか、また、その形に異常がないか。
- 顎の骨の位置関係:上あごと下あごが前後にずれているか、左右に歪んでいるか、上下のバランスはどうか。
- 歯の傾きや位置:歯並びが顎の骨格に対して適切か、傾きがないか。
- 顎関節の状態:顎関節に問題がないか、関節円板のずれなどがないか。
- 成長の予測:特に成長期のお子さんの場合、今後の顎の成長方向を予測し、治療計画に反映させます(手根骨エックス線写真も補助的に用いられることがあります)。
レントゲンによる画像診断は、顎変形症の種類(下顎前突、上顎前突、顔面非対称など)を特定し、外科手術が必要かどうかの判断、そして手術を行う場合の具体的な切開・移動計画のシミュレーションにも欠かせません。
レントゲン検査の安全性について
レントゲン検査には放射線を使用しますが、歯科用レントゲンは医科用レントゲンに比べて被ばく量が非常に少なく、体への影響はごくわずかです。最近のデジタルレントゲンではさらに被ばく量が抑えられています。
とはいえ、必要以上に撮影することはありませんのでご安心ください。専門医が必要と判断した場合にのみ、適切に撮影が行われます。
まとめ
顎変形症の診断において、レントゲン検査は骨格のズレを正確に把握し、最適な治療計画を立てる上で非常に重要な役割を果たします。パノラマ、セファログラム、CTなど、様々な種類のレントゲンを組み合わせることで、多角的に顎の状態を評価します。
もし、ご自身やお子さんの顎の形や噛み合わせで気になることがあれば、まずは矯正歯科や口腔外科を受診し、専門医に相談してみてください。精密なレントゲン検査を通して、あなたの顎の状態を正確に診断し、より良い未来への第一歩を一緒に踏み出してくれるでしょう。