歯周病予防に良い食べ物は？「炎症を抑える」「歯茎を強くする」栄養素とおすすめ食材
歯周病は、歯と歯茎の健康だけでなく、全身の健康にも影響を与える慢性的な病気です。適切な歯磨きや歯科での定期的なケアはもちろん重要ですが、日々の食生活を見直すことも、歯周病を予防し、進行を遅らせる上で非常に効果的です。
この記事では、**「歯周病の炎症を抑える」「歯茎の組織を強化する」「口内環境を整える」**という3つの働きに注目し、予防に特に効果的な栄養素と、それを豊富に含むおすすめの食べ物を詳しくご紹介します。
1. 炎症を抑え、歯茎の腫れを防ぐ「抗炎症・抗酸化」食材
歯周病は、細菌感染によって歯茎に慢性的な炎症が起こることが原因です。この炎症を体の中から抑える成分を積極的に摂りましょう。
1-1. ビタミンC：歯茎のコラーゲン生成をサポート
ビタミンCは、歯茎の主成分であるコラーゲンの生成に不可欠です。コラーゲン線維は歯茎の組織を支える土台であり、これが壊れると歯茎からの出血や腫れが起こりやすくなります。ビタミンCは、このコラーゲンの再生を促し、歯周組織の修復を助けるとともに、抗酸化作用で炎症を抑えます。
| 栄養素 | 効果 | おすすめ食材 |
| ビタミンC | 歯茎の組織（コラーゲン）を強化し、出血や炎症を抑制 | パプリカ（赤・黄）、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類（レモン、オレンジ） |
1-2. オメガ3脂肪酸：慢性炎症を和らげる
青魚などに多く含まれるDHA（ドコサヘキサエン酸）やEPA（エイコサペンタエン酸）などのオメガ3脂肪酸には、体内の抗炎症作用を高める働きがあります。これは、歯周病が引き起こす歯茎の腫れや赤みを和らげる効果が期待されています。
| 栄養素 | 効果 | おすすめ食材 |
| オメガ3脂肪酸 | 歯周病による慢性的な炎症を緩和し、進行を抑制 | サバ、イワシ、サンマ、鮭（サーモン）などの青魚、アマニ油、えごま油 |
1-3. カテキン・ポリフェノール：抗菌・抗酸化作用
緑茶やウーロン茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンには、歯周病の原因菌である「ジンジバリス菌」などの増殖を抑制する抗菌作用が確認されています。
| 栄養素 | 効果 | おすすめ食材 |
| カテキン | 歯周病菌の抗菌・増殖抑制、免疫力向上 | 緑茶、ウーロン茶（濃いめ）、黒茶 |
2. 歯を支える土台を強くする「骨・粘膜」強化食材
歯周病の進行で最終的に問題になるのは、歯を支える骨（歯槽骨）が溶けてしまうことです。歯と骨を丈夫に保つ栄養素をしっかり摂ることが予防につながります。
2-1. カルシウム＆ビタミンD：歯槽骨の維持
歯周病対策において、歯槽骨の健康維持に欠かせないのがカルシウムです。さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを一緒に摂ることで、より効率的に骨を強化できます。
| 栄養素 | 効果 | おすすめ食材 |
| カルシウム | 歯と歯槽骨を強化し、歯周組織の土台を維持 | 牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、小魚（しらす、煮干し）、小松菜、豆腐 |
| ビタミンD | カルシウムの吸収を促進 | 鮭、マグロ、きのこ類（きくらげ、しいたけ）、卵 |
2-2. タンパク質：歯茎や粘膜の修復・再生
タンパク質は、歯茎の組織、そして免疫細胞の元となる重要な栄養素です。炎症によってダメージを受けた歯茎の修復・再生に役立ちます。
| 栄養素 | 効果 | おすすめ食材 |
| タンパク質 | 歯茎・粘膜組織の修復、免疫力向上 | 肉類（鶏むね肉など）、魚介類、大豆製品（豆腐、納豆）、卵、乳製品 |
3. 口内環境を整える「自浄作用・善玉菌」サポート食材
唾液の分泌を促すことや、口内の菌のバランス（口腔内フローラ）を整えることも、歯周病予防には欠かせません。
3-1. 食物繊維：唾液の分泌を促す「天然の歯ブラシ」
食物繊維が豊富な野菜や果物は、よく噛む必要があるため、自然と唾液の分泌を促します。唾液には、口の中の汚れを洗い流す自浄作用や、歯周病菌の増殖を抑える抗菌作用があります。
| 栄養素 | 効果 | おすすめ食材 |
| 食物繊維 | 咀嚼を促し唾液分泌量を増加、口内をきれいに保つ | ごぼう、にんじん、キャベツ、きのこ類（エリンギなど）、りんご、セロリ |
3-2. 発酵食品（プロバイオティクス）：口腔内の善玉菌を増やす
ヨーグルトや納豆などの発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスは、腸内環境だけでなく、口腔内の善玉菌を増やし、歯周病菌などの悪玉菌の増殖を抑制する効果が期待されています。
| 成分 | 効果 | おすすめ食材 |
| プロバイオティクス | 口内フローラを改善し、悪玉菌の増殖を抑制 | 無糖ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌、ぬか漬け、キムチ |
歯周病予防のための食生活のポイント
| 注意点 | 具体的な心がけ |
| バランスの良い食事 | 特定の栄養素に偏らず、上記の5大栄養素を含む食材をバランス良く摂取しましょう。 |
| 咀嚼（そしゃく） | 歯ごたえのある食材（根菜類、きのこなど）を選び、一口30回を目安によく噛んで食べましょう。 |
| 間食の注意 | 砂糖やねばねばした糖質を多く含むお菓子、清涼飲料水は、歯周病菌のエサとなりやすいので控えめにしましょう。 |
| 就寝前のケア | 寝ている間は唾液の分泌量が減り、菌が増殖しやすくなります。就寝前の飲食を避け、必ず歯磨きをしてから寝ましょう。 |
歯周病予防は、日々の地道なケアと栄養摂取の積み重ねが結果につながります。これらの食材を毎日の食卓に意識的に取り入れ、健康な歯と歯茎を維持しましょう。